皆さま、お疲れ様です。
日々の業務で忙しい日々をお過ごしの方、大変お疲れ様です。
私は20年以上、SE(システムエンジニア)として働いてきました。
最近はかなり改善されてきましたが、SEは長時間労働が多い職種でした。
時間外労働の現状
下記は、厚生労働省がまとめた「我が国における時間外労働の現状 1週間の労働時間の実績(業種別雇用者割合)」です。

平成22年は、1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合が、
1位:運輸業,郵便業(18.2%)、2位:建設業(12.9%)、3位:情報通信業(12.5%)でした。
思えば、新入社員の頃から最後に電気を消して退出するほど長時間労働をしていました。
その後も終電で帰ることが多く、平日は家にいないことから「子育てを全くしない」と文句を言われたこともありました。
次の資料は、「我が国における時間外労働の現状 (参考2)長時間労働の職場の特徴」です。

労働時間が長い人は、職場の雰囲気として「一人あたりの仕事の量が多い」「突発的業務が生じやすい」「一部の人に仕事が偏りがち」「締切や納期に追われがち」と感じている。
まさに「それ」です。
これは私が回答したんじゃないかと思ってしまいました。
ちなみに過労死にあたる英単語は「karoshi」だそうですが、世界的に見ても日本は時間外労働時間は多いようです。ただ、”karoshi”が伝わったとされる1980年代に比べれば、現在はかなり改善されています。
karoshi is a borrowing from Japanese.

とはいえ、これはあくまで平均値の話であって、「いまも長時間労働で限界なんだ」という人もいらっしゃると思います。
では、どうしたら長時間労働は改善できるのでしょうか?
長時間労働の改善策
以下は、私がシステムエンジニアとして行った改善策です。
① 長時間労働の間接的緩和
①-1. 定期的な休憩
長時間の連続稼働は、単に作業効率が落ちるだけでなく、身体的負担が蓄積します。そのため、50分仕事したら10分休むが理想です。ただ、現実的には難しいと思いますので、2時間仕事したら5分でいいので目を閉じてください。
定期的に休憩を取り、何も考えない時間を作ることで脳を休めるのが効果的です。パソコンのキャッシュメモリをクリアするイメージで、こうすることで処理速度を保ちます。生産性向上のためにぜひ定期的な休息を行ってください。
①-2. 通勤時間の短縮やリモートワークの利用
私は通勤時間短縮のために会社の近くに引っ越して徒歩通勤にしました。家賃は高くなりましたが、通勤時間の短縮分を時給換算するとその方が良いと考えました。以前は、往復の通勤時間が3時間半以上でしたので、体への負担はかなり軽減できました。
② 仕事を断ることによる長時間労働の改善
「仕事の断り方」は、ぜひ身に付けていただきたい重要なスキルです。
心身の健康を犠牲にしてまでやるべき仕事は、ほとんどありません。
一度体調を崩すと、その後も体調を崩しやすくなります。
長期的に健康を維持できるレベルで、業務コントロールすることが大切です。
「それはわかっているけど、断れない」
そうですね、断るのは難しいと思います。
では、なぜ難しいのでしょうか?
- 責任感が強いため、罪悪感を感じる
- 評価が下がるのではないかという不安
- 会社や組織の雰囲気が断りづらい環境
現状を変えるためには、断り方を少しずつ練習することが一つの解決策です。
私も評価が下がるかもしれないという漠然とした不安から多くの仕事を一人で抱え込んだ経験がありますが、少しずつ訓練して身に付けた断り方をご紹介します。
断り方のポイント:論理的に話す
「もう無理です、できません」
と言いたい気持ちは重々承知していますが、感情的に訴えても上手くいかないケースが多いです。

いったん、断られる側の立場に立って考えみましょう。
「もう無理です、できません」
と言われた上司の場合、どのように受け止めるでしょうか?
特にマネージャーやリーダーの立場では、どうしても「評価や判断、アドバイスをしなければ」と思いがちです。そのため、ますます相手を理解しようとするのではなく、答えようとして相手の話を聴いてしまいます。
感情を上手に受け止められる相手であればよいですが、そうでない場合は、感情的にではなく、論理的に話すほうが上手くいきます。
例えば、やらなければいけないことや仕様が曖昧で、関係者の意見も割れていて合意形成が難しい場合、この背景を説明した上で、まずアドバイスを求めます。
例文)
「この部分で方針決定が遅れており、このままだとどうしても他の業務対応が厳しいのですが、何か良いアドバイスをいただけないでしょうか?」
「『評価や判断、アドバイスをしなければ』と思いがち」な人であれば、考えてアドバイスしてくれます。
アドバイスをいただいたら、忠実に実行します。
それで上手くいったらOKですし、上手くいかない場合はその旨を伝えて、「他の業務対応」を断ります。
自分がアドバイスして上手くいかなかったので、断られても言いにくくなる効果があります。
「感情的に断らずに、相手の立場に立って、どういう論理だったら断りやすくなるかを考えて話す」ことが、一番の基本となるやり方・考え方です。
次に、より具体的なテクニックを挙げていきます。
②-2 仕事の上手な断り方の具体例
パターン1:優先順位を確認する、共有する
現在の仕事の優先順位を説明し、他の仕事を断る方法です。

例文)
「ご依頼ありがとうございます。現在、〇〇を全力で対応しており、これ以上の業務を引き受けるのが難しい状況です。〇月〇日以降であれば対応可能ですが、いかがでしょうか?」
応用例としては、自分の抱えている業務の優先順位を共有し、相手に優先順位を決めてもらった上で他の仕事を断るやり方もあります。
パターン2:部分的に対応する
全部ではなく、一部の作業であれば対応できる旨を伝え、誠意を示しながら断る方法です。

例文)
「ご依頼ありがとうございます。現在のスケジュールでは全て対応することは難しいのですが、この部分だけであれば対応可能です。残りの部分は他の方に協力いただくことは可能でしょうか?」
パターン3:納期(締め切り)の延長を申し入れる
納期を延長してもらうことで、長時間労働を防止する方法です。

例文)
「ご依頼ありがとうございます。今すぐには対応が難しいのですが、納期を〇月〇日まで延長していただければ対応可能です。ご検討いただけないでしょうか?」
応用例としては、相手にとって譲れない締め切りと、そこまで急がなくてもいい仕事を分類して、納期延長を交渉します。
断り方を覚えていくうちに、
「これは相手が譲らないだろうな」
「これは断っても受け入れてくれるだろうな」
という感覚が磨かれていくと思います。
長時間労働が続いているのであれば、相手にとって譲れないことだけに絞り、他は極力断るというスタンスでも良いと思います。
少しでも長時間労働で体調不良になる方が減れば幸いです。
③ 業務効率化による長時間労働の改善
これまでご紹介した改善策のうち、改善策①と②は一人でも実践できます。
③の業務効率化は一部なら自分だけでも可能ですが、他のメンバーの協力も必要です。
そのため、難易度が上がります。
業務効率化・業務改善のステップ
業務改善などの問題解決をするためには、ステップを踏む必要があります。

今回は、「1.定義」を「長時間労働で心身に負担がかかっていること」とします。
「2. 分類」の業務の洗い出しを行って、
「3. 分析」で「どこに時間がかかっているか?」、「なぜ時間がかかっているか?」を分析し、
「4. 改善」で、改善案を検討して実行します。
「5. 評価」で、振り返ってどれくらい効果があったかを確認します。
また、「4. 改善」では、次の切り口で検討をします。
- その業務自体をなくせないか?
- その業務は他の人に任せられないか?
- その業務の順番を変えられないか?
- その業務のやり方を変えられないか?
③-2 業務効率化・業務改善の事例
会議改善による業務効率化
システム開発における仕様や対応方針の検討などの打合せが多く発生し、他の業務が後回しになって残業時間が増えたケースです。
Step2. 分類:会議、打合せ
Step3. 分析:会議が多く、一つ一つが長い。会議に出席したが、関係ない話が多く無駄が多かった。
Step4. 改善:会議の出席を減らす(なくす)、会議の効率化(やり方を変える)
・会議開催の前に会議の目的やアジェンダを明確にする
・それにより、本当に必要なメンバーだけが参加するように変更する
・会議中、一度も発言しなかったメンバーは参加を見直す
実際に、これだけでも週に数時間分の削減効果が見られました。
会議に出席していなくても、決定事項やToDoさえ議事録に残っていれば、大きな支障はありませんでした。
ムダ会議改善については、詳しい内容は下記で書いていますので、こちらも参照していただければと思います。
